たばこの健康障害 |
喫煙と循環器 |
喫煙により血管は収縮し、血流への抵抗は高まります。血圧や心拍数は上昇し、心臓には大きな負担がかかります。また、習慣的喫煙は動脈硬化を促進し、虚血性心疾患や脳・四肢などあらゆる部位の血流障害による疾患のリスクを高めます。 |
1.皮ふ微小循環血管の変化に喫煙の影響が明確にあらわれます。 |
「喫煙関連疾患 Illustated Book」より |
●皮ふ微小血管の変化;ウサギに副流煙を経鼻的に2秒間吸わせたときの耳の血管の変化を顕微鏡で観察 |
吸煙直後に細動脈や細静脈が強く収縮して血流が途絶えるので、血管網が見えなくなる |
●皮ふ表面温度の変化;喫煙者がタバコを吸った時の皮ふ表面温度の変化をサーモグラフィーで観察 | |
▲喫煙前 | ▲30秒後 血管が縮むサーモグラフィー (ファルマシア発行 写真で見る喫煙関連疾患より) |
喫煙30秒後には、微小血管の収縮により皮ふ表面温度が著明に低下している。 | |
*たばこは美容の大敵 | |
一服吸うたび皮ふの血液の流れが悪くなるため、顔色はくすみ、肌のつやもなくなります。 |
2.四肢の血行障害が生活の質を著しく低下させます | ||
使用資料 Nikkei Medical 2000年5月「タバコ・ディジーズその放置の大罪」、「喫煙関連疾患 Illustated Book」 | ||
●慢性閉塞性動脈硬化症(ASO、写真1)が最近注目されています。特に安静時疼痛や皮ふ潰瘍、壊疽を起こす重症虚血肢(写真2)が最近、急増しています(98年度の調査では92年度の約10倍)。ASOの99%が喫煙者だったと報告されています(図4)。 ASOはきわめて予後不良で、心筋梗塞や脳血管疾患による死亡が増え、ASOがない場合より5〜10年寿命が短くなります。 |
||
写真1)下肢動脈造影像 67才男性 右大腿部の動脈は途絶している |
写真2)四肢の血行障害による足潰瘍 68才男性 1日20本 42年間 | ●重症虚血脂のもう1つの大きな原因疾患であるバージャー病(閉塞性血栓血管炎)も患者のほとんどが喫煙者です。 |
3.冠動脈疾患の発生は喫煙により約2倍に増加します。 | |
心臓を取り巻く冠動脈によって心筋に血液が送られます。喫煙により冠動脈が収縮したり、動脈硬化が進んで血管が細くなると心筋が酸素不足になり、狭心症の発作がおきるようになります。
冠動脈が詰まって血液が途絶えると心筋梗塞となり、生命までおびやかされることとなります。 喫煙者では狭心症や、心筋梗塞の発生が約2倍に増加することがわかっています。フィルター付きのたばこであっても、またタール量の少ないたばこであっても冠動脈疾患の発生率には差がないとする研究が多く発表されています。 |
|
冠動脈造影のフィルム 冠動脈の一部が極端に細くなっているのが判ります |